上宮、強さの理由 第104回全国高校野球選手権大阪大会

第104回全国高校野球選手権大阪大会は、圧倒的な強さを見せつけた大阪桐蔭高校の優勝で幕を閉じました。朝日新聞大阪販売は今回、配達区域内で希望のあった13チームを取材しました。その中で、上宮高校が5年ぶりに準決勝進出。大阪桐蔭に敗れたものの、甲子園まであと一歩に迫る戦績を残しました。今夏、上宮はなぜ強かったのか? その理由を探ります。

大会前取材は6月27日、場所は大阪市天王寺区上之宮町の同校教室で行いました。通常ならグラウンドでの様子を撮影すべきですが、練習場は太子町の上宮太子高校グラウンドで遠方だったのと、タイミングも合わなかったため、このような形を提案しました。

副部長の小川さんは「学校の地元の方は、部員たちの練習着やユニフォーム姿を見慣れないので、あえて制服姿を掲載して、顔を覚えてもらえる機会になれば」と、前向きに取材をセッティングしてくれました。

ノッカーとしてグラウンドに立つ小川さん(清教学園戦、7月24日・南港中央)

教室で待っていたのは、3年生全員と、背番号を受けた2年生たち。みんなキチンと並んで席に座り、背筋を伸ばして「こんにちは!」。まるで授業に臨む教師のような私。もっと、くだけた雰囲気を想像していたのに。

「それでは、おかちんさん(私)、後はご自由に」と笑顔で引いてしまった小川さん…。それは無茶ブリというものです。正直、「すみません!」って、教室を出ようかと思いました。でも、部員たちの顔を見渡せば、山田西リトルウルフOBの西森君や、津雲台少年野球クラブOB(実はおかちんも津雲台OB)の山元君ら、北摂の知った存在が、緊張をほぐしてくれました。

そこで、せっかくホワイトボードがあるのだからと、異例の講義風取材をスタート。ランダムに部員を指して、「夏の目標」「セールスポイント(自己分析・他己分析)」などを質問しました。

その中で、最も印象に残ったのが、3年の瀧野君。二塁手ですが、最後の夏は2年の後藤君にレギュラーを譲りました(奪われた? 言葉の選択って難しい)。

試合開始前、セカンドベース周辺を念入りに整備する瀧野君(清教学園戦、7月24日・南港中央球場)
軽快に打球をさばく、2年で正二塁手の後藤君(清教学園戦、7月24日・南港中央球場)

強豪チームにあって、もしかしたら出番がないかもしれない控え選手。ちょっと厳しいかな…と思いつつ、ぶつけた質問は、

「二塁手の魅力というか、やりがいを教えてください」

別のチームでも、同じような質問をしたことがあります。大抵の答えは「6―4―3のゲッツーを決める時が最高!」とか、「セカンドで盗塁を、バシッ!と補殺したとき」など。

でも、瀧野君は違いました。

「僕は、バッターが振り逃げで一塁に走ろうとした時などに、一塁手のカバーができるところが、二塁手のやりがいだと考えています」

意外な答えに、私は目頭が熱くなりました。

整備を終えて、ベンチに戻る瀧野君(清教学園戦、7月24日・南港中央球場)

取材を終え、正門まで送ってくれた小川さん。

「まさか、瀧野があんなことを言うとは思いませんでしたが、このチームはレギュラーであってもなくても、背番号がない3年生部員も、1つになっているように思うんです。そういう部分でもこの夏は期待しているんです。おかちんさん、そんな部員も、ぜひ取り上げてやってください!」

おかちんと記念撮影(撮影時のみマスクを外し、会話しないよう心がけています)

今回、13チームをわずかA3用紙両面にまとめることになり、文字数はかなり限られていました。そんな中で果たして、主力選手紹介のスペースを削ってまで、控え選手のエピソードまで掲載することが妥当なのか。また、短い文章で、チームの思いを伝えることができるのか…。

そんな風に悩みながら、翌々日、この夏最後の取材チーム、箕面学園の茨木グラウンドを訪ねました。

(つづく)

上宮5年ぶり4強! 準決勝は春センバツV・大阪桐蔭と対戦(上宮4-1東大阪大柏原)

7月27日に南港中央球場で行われた、第104回全国高校野球選手権大阪大会の準々決勝で、上宮東大阪大柏原に4-1で勝利し、2017年以来5年ぶりの4強入りを果たしました。準決勝では、今春センバツ優勝の大阪桐蔭と戦います。 ※チームご関係者から届いた臨場感ある写真を順不同でお届けします。ご提供ありがとうございます。

この試合も前半までは、花園との3回戦以降続いている、1点を争う大変緊迫したムード。そんな雰囲気が変わったのは、0-0で迎えた5回裏、2死三塁の場面。打席に立った先発投手・伊藤が、相手守備のスキをつく、クレバーなスクイズバントが内野安打となって先制、チームを勢いづけました。

6回には、本大会攻守にわたって大活躍の中田(中堅手、2年)が、2死一・二塁で左翼越えのランニングホームラン! またまた ‘ヒーロー’ の座を手にしました。

上宮は、中1日置いた29日、舞洲のシティ信金スタジアムで、準決勝を大阪桐蔭と戦います。これは奇しくも、今春の府大会準決勝と同じ組み合わせ。上宮はこの夏手に入れた、驚異の集中力と粘りを武器に、春の雪辱を遂げようと気合十分です。

ミラクル上宮!2試合連続延長サヨナラ!!(上宮2×-1清教学園)

本日(7月24日)、南港中央球場で行われた第104回全国高校野球選手権大阪大会の4回戦で、清教学園高校と対戦した上宮高校が、3回戦の花園高校戦に続いて劇的な延長サヨナラ勝利をつかみました! 選手権大会の16強入りは(20年夏季大阪大会を除けば)、準決勝に進出した17年以来5年ぶりです。(オリジナルのトーナメント表を随時更新しています。ぜひチェックしてください)

上宮最後の回の攻撃を、一部を除き時系列でお届けします。上宮1-1清教学園、延長11回裏ノーアウトランナーなし。打席には、先頭の4番・川村。マウンドには、10回裏途中から登板のエースナンバー岩根。さて、決めたのは誰でしょうか?

清教学園のエースナンバー・岩根は、1-1同点の10回裏、無死一・二塁、絶体絶命の場面で登板。しのぎ切って、雄たけびを上げながらベンチに戻った
11回裏、上宮先頭の4番・川村は、シャープなスイングで三遊間に鋭い打球を飛ばすも…
ここまで7つの守備機会をすべて完ぺきにこなした遊撃手、山沖の好フィールディングに阻まれた

下を向かず、次の打者に視線を送る川村
続いて、「5番、ファースト・山元君(2年)」
山元は、きっちりボール球を見極めて四球を選ぶ。ここで必要なのは、長打ではなくチャンスメイク。良い仕事を果たした
「してやった」という顔で一塁へ
「俺がサヨナラの本塁を踏んでやる」というような横顔

6番・浜口主将が、
2球目をきっちりバントで転がし、
2死二塁

そして打席には、2年の中田。主将から託された、大切な打席

「先輩たちと、もっと野球がしたいと願いながら振り切りました」

二塁から一気に山元が生還!

「月影の いたらぬ里は なけれども 眺むる人の 心にぞ澄む」

コロナ対策で発声はできないが、部員たちの心には、スコアボードの向こうに美しい月影がうつっていたはずだ


※1997年春センバツ


「僕たちみんなの目標は甲子園です!」 清教学園に勝利して16強の上宮高校。左から、サヨナラ安打の中田(2年)、リリーフしたエース山田、頼れるキャプテン浜口、本日笑顔で先発した「野球は楽しむもんです!」がキャッチフレーズの京極
試合前、素振りをする中田の背中とスコアボードの点灯が、いい感じの構図でシンクロした。中田はこの日、センターでダイビングキャッチするなど、攻守にわたり大活躍だった。この場面からそれが予告されていたのかもしれない